国をまたぐ輸出入において、国際間で輸送される貨物が、輸送中・輸送経路の一時保管中に損害を受けた時の保険です
取引当事者間の条件が明確な契約に基づいていないと事故時の責任負担関係があいまいとなります。
貨物の損害、運送費の損害、その他輸出入費用の損害などの負担責任が輸出者側にあるのか、輸入者側にあるのかのと取り決めです。
<主な補償内容>オールリスク担保
外航貨物海上保険の内容は、世界的に広く使用されている協会貨物約款(ICC)によります。この約款にはICC(A)、ICC(B)、ICC(C)の3つの基本条件がありますが、オールリスク条件のICC(A)概要は下表のとおりです。
(注)ICC(B)、ICC(C)条件は保険対象となる事故の範囲が限定されます。
<ICC(A)条件>
◇火災・爆発
◇船舶または艀の沈没・座礁
◇陸上輸送用具の転覆・脱線
◇輸送用具の衝突
◇本船または艀への積込・荷卸中の落下による梱包1個ごとの全損
◇海・湖・河川の水の輸送用具・保管場所への浸入
◇地震・噴火・雷
◇雨・雪等による濡れ
◇破損・まがり・へこみ、擦損・かぎ損
◇盗難・抜荷・不着
◇外的な要因をともなう漏出・不足
◇共同海損・救助料、投荷
◇波ざらい
◇戦争・ストライキ危険
<注意すべき主な免責事由>
◆梱包または梱包準備の不完全(輸送開始後の、被保険者およびその使用人以外の者によって行われた場合を除きます。)
◆貨物固有の欠陥や性質に起因よる損害(自然の消耗・減少、発汗、蒸れ、自然発火、腐敗、変質、錆び等)
◆航海、運送の遅延に起因する損害
◆原子力・放射能汚染危険による損害
◆化学・生物・生物化学・電磁気等の兵器による損害
◆事業者の場合、直接であると間接であるとを問わず、サイバー攻撃によって生じた損害
なお、標準的貿易取引条件がインコタームズ(国際商業会議所)によって決められており、売主または買主は、通常この貿易取引条件にしたがって外航貨物海上保険を手配します。
[インコタームズ(貿易取引条件)]
貿易売買においては、「商品の引渡し場所はどこか」「売主と買主のどちらが船舶を手配するか」「売主と買主のどちらが外航貨物海上保険を手配するか」をあらかじめ売買当事者間で十分に確認しておく必要があり、これらを折り込んだ標準的な貿易取引条件に関するルールが定められています。
最も広く使用されているルールとしては国際商業会議所のインコタームズ(INCOTERMS)があります。
<基本取引条件>
「FOB条件」「CFR(C&F)条件」「CIF条件」
FOB(Free On Board)
本船甲板渡し条件。
売主は、積み地の港で本船に荷物を積み込むまでの費用を負担し、それ以降の費用及びリスクは買主が負担します。
※外航貨物海上保険は、買主が手配することになります。
CFR(C&F Cost and Freight)
運賃込み条件。
売主は、積み地の港で本船に荷物を積み込むまでの費用及び海上運賃を負担し、それ以降の保険料及びリスクは買主が負担する。
※外航貨物海上保険は、買主が手配することになります。
CIF (Cost, Insurance and Freight)
運賃・保険料込み条件。
売主は、積み地の港で本船に荷物を積み込むまでの費用、海上運賃及び保険料を負担し、それ以降のリスクは買主が負担する。
※外航貨物海上保険は、売主側で手配することになります。